概要
最近、野暮用でテンキーのキーボードを購入した際、製品選択の検討ポイントになった点と、自分の判断基準についてメモを書いておく。ちなみに、ここで書いてあることは全部Windowsを前提としている点に注意。
購入製品
とりえあず、現状はEWINのテンキーを利用している。
それ以外に、KcBlue テンキー 電卓 2in1を使ってみたが、こちらは自分の用途では使い物にならなかった。理由は各々のポイントで記述する。
検討ポイント
キー配置
テンキーは名の通り0-9までの数値が並んだキーボードではあるが、それ以外にもいくつかのキーを備えている。四則演算のキーに加えて、Enter、ピリオドは通常備えている(これらはテンキー専用のキーコードを持っている)。それ以外に、数値入力とカーソル移動を切り替えるNumLockキーがある。
それらに加えて、いくつかのキーを拡張で追加している製品も存在している。追加しているキーとその配置はメーカーによって千差万別。なので、まずはテンキー上で使いたいキーをある程度検討した方が良い。
自分の場合は、Tab、Backspace、カンマキー辺りは欲しかったので、その辺りを基準に選択。当然だが、キーが増えれば増えるほどテンキーの大きさは大きくなるので、自分が欲しいキーと大きさのバランスを考慮する必要がある。そういう意味で、EWINのテンキーはだいぶ大きいが、今回は妥協してしまった。カーソル移動系のキーは要らなかったんだけど…。
ちなみ、追加部分のキーについては通常のキーボードと同様にキーボードレイアウト設定の影響を受ける。EWINのテンキーはシステム上は日本語レイアウトになっているので、普段英語キーボードレイアウトを使用していると、「=」「(」「)」が異なるキーとして認識される(日本語配列と英語配列でキーの配置が異なるため)。これについてはレジストリを編集して対応できるが、大変に面倒臭いのでここでは省略。とにかく、上記のキーを持つテンキーは、メインのキーボードと配列を合わせないと面倒な事になるという点に留意する。(そもそもの話、Windowsがキーボード毎のキー配列を設定できる機能を用意しろ、と言いたくなる。)
キー構造
通常のキーボード同様、テンキーにも様々なキーの構造がある。メンブレン方式、パンタグラフ方式、メカニカルスイッチ方式、など。
これは好みなので何でもいいが、個人的にあまり高さがなくキーストロークが小さいキーが好きなので、パンタグラフ式を好む。高さが低い方が収納もしやすいメリットもある。
有線・無線
有線はバッテリーを気にしなくて済むメリットもあるが、ケーブルが邪魔にならない無線が良い。USB充電が可能なタイプなら、有線のような使い方もできるので。(両方対応している製品もある)
無線の場合、主にBluetooth / 独自無線があるが、これは用途によって選ぶ。例えば独自無線の場合、USBハブ機能のある1台のディスプレイを複数のPCで共有している環境では、ディスプレイに無線のレシーバを挿しておくと、複数環境での使い回しが簡単になる。Bluetoothは専用のレシーバが不要になる一方、1対1の接続になるのでマシンごとにペアリング作業が必要となる。テンキー側にマルチペアリング機能が無ければ、複数環境の使い回しは面倒になる。ただ、使い回しをしなければアダプタが不要なBluetoothのメリットが勝る。なので、この辺りはケースバイケース。EWINのテンキーは両方に対応している(Bluetoothマルチペアリングに対応していない点には注意)。
あと、Bluetoothの場合はBLE(Bluetooth Low Energy)に対応しているかどうかも重要。バッテリー消費が少なくなるので、電池寿命が長くなる(と思う)。BLEはBluetooth 4.0以降でサポートされる。
また無線の場合は通常、バッテリー消費を抑えるために一定時間使用しないとスリープ状態に入る。このスリープ状態はキーを押した時に復帰するが、この時に復帰までに時間がかかることがある(製品による)。これが結構ストレスになる可能性があるので、レビュー等を見て復帰時間に関する情報をチェックすると良い。EWINはBluetoothと独自無線の2種類の無線方式に対応しているが、Bluetoothは2秒程度の遅延があるのに対し、独自無線方式はタイムラグ無しで入力できる。独自無線方式だと再接続の認証をスキップできるので、復帰のタイムラグが発生しない場合も多い(必ずそうなるとも限らないが)。ちなみにKcBlue テンキーも同様に復帰時のラグはある。
バッテリー
バッテリーは、電池式か充電式か。充電式はバッテリーが尽きてもUSBケーブルを挿せばそのまま利用できるが、バッテリーが劣化していくのは避けられない。一方で、電池式は電池を交換していくのでバッテリーの劣化は気にしなくて済むが、電池の交換は面倒。この辺は個人の価値観によりけり。
個人的には充電式が良い。テンキーは安いしそこまで長く使う製品でもないので、バッテリーの劣化はあまり気にしない。ちなみに、今なら充電をUSB type-Cで行うものを選んだ方が良い。microUSBは今後消えていく規格なので、余程の事が無い限り避けた方が無難。
連続入力
この辺りは、カタログスペックにあまり出てこない仕様になる。
キーボードは通常、キーを押しっぱなしにすると連続して入力される。これはキーを押した時と離した時で、別々の信号が送られるため、それをOSが読み取って連続入力処理をしている。ところが、製品によっては押した時に、両方の信号を一度に送信して「確実に1度だけキーが押されるようにして、連続入力を防ぐ」という動きをさせる場合がある。KcBlueの2in1テンキーがそれ。普通のキーを押した時と違う動きになるため、意図する動作にならない場合がある。特に拘りがなければ、こういうトリッキーな動きをする製品はなるべく避けた方が良い。逆に、そういった部分に拘りがある人が選ぶ製品でもある。テンキー製品ののレビューを見ていると、会計や事務で利用している方が、連続して数値が入力されて困るという不満を書かれていることが多いので、そういう方々向けの製品と考えた方が良い。
ちなみに、大昔購入したことのあるテンキーで、通常のテンキー部分は普通の信号入力なのに対し、拡張されたキーは両方の信号が一度に送られるという、全体で動きが統一されていない物を見たことがあるが、これは単に出来が悪いだけだと思う。
NumLock非連動と入力キーコード
これもカタログスペックにはあまり出てこない仕様だが、極めて重要なポイント。一般的に、キーボードの上部に並んでいる0-9の数値と、テンキーの0-9の数値は、内部的に異なるキーとして処理される。ソフトウェア上で同じ数値入力として解釈される場合が多いが、別々の処理として扱う場合もある。
ところが、テンキー製品の中には0-9を押した時に、キーボード上部の数値と同じ信号を送る製品がある。KcBlueの2in1テンキーはその仕様になっていた。
このような作りとする理由は恐らく、本体のキーボードとNumLockと非連動を目的としているためと考えられる。NumLockキーは、テンキーを数値入力とカーソル移動で切り替えるためのキーだが、多くの人には誤入力の原因となるためあまり好まれない。特にノートPCはNumLockがONだと、一部の文字キーが数値キーに置き換わる製品があり、初心者を混乱させる原因の一つになる。そのため、NumLock非連動を売りとする製品が多数ある。それを実現させるため、通常のテンキーではなくキーボードの数値入力として処理させることで、非連動を達成しているものと考えられる。ちなみに、テンキーが勝手にNumLockキーを押す理由 | Qreat のページによると、NumLockを一瞬だけ有効にすることで、非連動を達成させるという力業を行う製品もあるとのこと。
そんなわけで、数値では無くテンキーのキーコードが重要な場合は、「NumLock非連動」は選ばない方が無難…かもしれない。テンキーで入力されるキーコードはカタログ上に出てこないので、情報が欲しい場合はユーザーレビューを見たり、メーカーに問い合わせたりした方が良い。ちなみに、EWINのテンキーは素直にテンキーのキーコードを出力してくれている(画像参照)。ただし、色々調査していたところ、iCleverのIC-KP09という製品は、NumLock連動型にも関わらずテンキーの信号ではなく、キーボードの数値キーの信号を返すという仕様になっているというレビューを見かけたので、NumLock連動だからと言って油断してはいけないようである。
あと、キーボードの数値入力が行われる場合は、Shiftキーを押しながらだと、該当する記号が出力される点にも注意が必要となる。
なお、非連動かつテンキーのキーコードが入力されるテンキー製品ががあるかどうか、残念ながら知識がなくて分からないので、そのような製品があれば教えていただけると幸いです。
最後に
そんな感じで、テンキーについて調べたり実際に使ってみたりして、テンキー選びのポイントを色々書いてみた。
最近テンキーが必要になったので、変わった機能を持つKcBlueの2in1テンキーを試しに購入してみたところ、まったく思い通りの動きをしてくれなくてEWINのテンキーを買い直したという経緯があり、同じような失敗をする人が出ないように、文章としてまとめてみた次第。EWINのテンキーは品質は良いので今のところ満足だけど、ちょっと大きいのと、メインが英語キーボードなので配列違いに悩まされるのが今のところネックではある。折を見てまた何か違う商品を試してみたいところ。KcBlueの2in1テンキーは、計算機と一体になっている上に連続入力防止処理が施されていて会計特化型の仕様なので、私の用途には合わなかった。
ちなみに、テンキーのキーコードにこだわる理由としては、PC-98エミュレータでテンキーが無いと使い物にならない、という極めて特殊な理由によるものです。
コメントを残す