ソニーDVDのコピープロテクト

ソニー、自社製プレーヤでも再生できないプロテクトでDVDを保護 – Engadget Japanese

以前、Sony BMGがコピープロテクト手段として音楽CDにRootkitを仕込んだ事件は記憶に新しいけど、同じSonyグループ企業の一つ、Sony Picturesが新たなコピープロテクトを施したDVDタイトルを発売したが、いくつかの再生機器でそのDVDが再生できないという話。
その再生できない機器の中にソニー製の機器もあるという点、見られなかった人の中にリッピングして見た人もいるという点は、この話の笑い所なのかもしれない。むしろ笑い話で済むならならどんなに良い事だろう。

もう何ら実を為さず、むしろ害しか産まないコピープロテクトにどれほどの意味があるのやら。EMIがプロテクト無しの方向に向かっている事を公表した後だけに、その方針や結果の対照性が浮き彫りとなり、余計悪い印象を与えてしまっている。
自分は別にコピープロテクトを悪とは思わないし、その技術の存在自体は別にいいんだけど、正規の消費者に害を為す技術は悪だと思う。DVDを購入したのに見られないというのは、そのDVDに正当な対価を支払った消費者が当然享受するべきサービスを提供しないわけだから、パターンとしては最悪と言って差し支えない。rootkitを仕込むのは最悪というか、犯罪。

コンテンツホルダがこうした強硬な姿勢を示せるのは、コンテンツが代替の効かない唯一の存在だからなんだろうな、と思う。機械などは別の会社の製品を買うという選択肢が与えられるけど、DVDやCD等のコンテンツは他社の物で代替わりするという事はできない。それがコンテンツ産業の特徴であり強みでもあるのだろうけど、この場合はそれを盾にして消費者に不利を押しつけている。
コンテンツ産業の弱みを挙げるなら、「無ければ無いで別に困らない」という点だろうと思う。つまり、他に興味があれば別にコンテンツが無くても困らないし、信用がなくなったなら買わないという選択肢もとれる。
ソニーの姿勢は、そうしたコンテンツ産業の弱みを忘れているように思える。お前らは別に偉いわけじゃないんだよ、と。

でも、コピープロテクト技術自体が悪と定義されることはやめてほしいなぁ、と思う。著作権者が自分の権利を保護する努力を行う事は当然のことなわけだし。もしコピーされる方が利益が産めると判断するならプロテクトを外せばいい。
個人的には、消費者を無視した企業の姿勢は好かないけど、「コピーした方が売れるに決まっている」などと一方的に決めつけ、コピーさせろとわめく消費者はもっと好かない。
「DVDが売れなくなったのはWinnyやYouTubeのせい」というGONZOの発言を馬鹿にするなら、WinnyやYouTubeによってどれだけ利益が上がったのかを示してほしいし、「YouTubeがあったからハルヒが売れた」と言うのなら、YouTubeがあった事でどれだけ売れたのか、YouTubeが無ければもっと売れた可能性は無いかどうかを示してほしい。
もちろんそんな事が不可能という事は分かっている。ただ、コピーが正義と一方的に決めつける事で利益を享受したいだけの人間が多いように見受けられるため、どうも今ひとつコピーフリー擁護派に完全に同意できないでいる。
もちろん自分も、コピープロテクトなんてあるよりも無い方がいいのだけど…。


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