スラッシュドット ジャパン | 「著作権保護期間の延長を求める共同声明」の詳細が公開される
著作権保護を訴える組織である日本文藝著作権センターの機関紙「文藝著作権通信」7号に、「著作権問題を考える創作者団体協議会」の主張が掲載されている。この団体は、著作権保護期間の延長を求める活動を行っている。
で、その文章が掲載されているのが以下のPDFファイル。
これを読んでたら、何か頭痛くなってきた。
一部の文章では
作家の創作活動を促し、励ます要因を「インセンティブ」といいますが、多くの作家は目先の収入を求めるのではなく、芸術として長く評価されることを期待し、そのことを目標として創作活動に励みます。ですから芸術を愛し、創作に命を捧げようとする作家にとって、「インセンティブ」とは、金銭ではなく、将来の評価だということになります。だからこそ、保護期間の延長というものが、作家にとっては重要な「インセンティブ」となるのです。
という美辞麗句で彩られた主張をしている一方で、その後に続く文章が概ね利益確保を基準としている辺りが何とも違和感を感じる。また、Q&Aを眺めていると、芸術や文化を主張したり利益を主張したりと、「ああ言えばこう言う」という感じで、一貫した姿勢が見られない。一番酷いのは、回答の一つにある「損得だけでものを考えるのはまるで後進国のような発想です
」。…何て説得力とえげつの無い回答なんだろう。また、「しかし命を削るようにして創作に挑み、若死にする作家がいないわけではありません。そのような作家の生活を支えた妻子などご遺族の権利を保護することはぜひとも必要です。著作権は私権(個人の権利)です。平均値で考えるのではなく、レアケースではあっても、最もお気の毒な個人の権利を守っていく必要があります。
」辺りの主張も、無理がありすぎて嘲笑の対象にしかならない。
これを見て、「ああなるほど、ダブルスタンダードというのはこういう物を指すのか」と妙に感心してしまった。(余談だけど、はてなダイアリーのキーワードで、「ダブルスタンダード」のページに行くと、「ダブスタ」のページに誘導されるのは何故…。個人的に、「ダブスタ」という略語はとても頭悪そうに思える)
何よりも違和感を感じるのは、作家全員が「利益よりも長く評価される事を至上命題としている」事が前提になっている点。目先の利益のために創作をする人もいるし、評価されなくても別に構わないという人もいる。それらは別にどれが正しいという類の物でもなく、人による著作に対する考え方の違いから来るものだと思っている。そういったそれぞれの考え方を完全に無視した上で、都合の良い前提で全てを包括し、その上に主張が成り立っている点が腹立たしい。
またそれのみに限らず、全体に渡って自分たちの持つ著作権の観念について、押しつけがましさを感じる。何というか、とても利己的な文章。
自分は今まで、ネット上で「著作権の期間は短くした方が良い」という主張をたくさん見てきたので、「ああ、短くした方がいいのかな」と考えるようになった。ただ、「果たして本当にそれは正しい主張なのか?」と疑問に思う事もある。だから、それを考える意味でもこの著作権保護期間延長派によって、その主張の論理的な根拠が提示される事を望んでいたのだけど…この内容ではね…。
確かに、自分がこの団体に対して偏見を持っている事は自覚しているのだけど、それを差っ引いてもこの内容は無いだろう、と。
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