Steamというのは、世界的に有名なFPS「Half Life」を開発したValve Software社によって作られた、PCゲームのネットワーク販売・配信サービス。「Half-Life 2」が開発段階の頃(2002年ごろ)にシステムの概要が発表され、当時はインターネット接続環境が必須という点で色々物議を醸し出したが、現在ではすっかり定着した感がある。
大雑把な仕組みを説明すると、ユーザーはSteamのクライアントソフトを通してソフトを購入し、その購入したソフトは、Steamのサーバからダウンロード可能となる。一度購入したソフトは以後、同じアカウント上で自由にダウンロードすることができるようになる。(参考:Steam – Wikipedia)
このサービスについてユーザー側のメリットとしては、欲しいときにゲームが即購入できる(ダウンロードする時間はかかるけど)、データ自体はSteamからいつでもダウンロードできるので手元にパッケージが必要なくなる(CDチェックに代わりネットワーク認証が必須)、在庫切れが起こらない、など。デメリットは、インターネット接続環境必須、中古販売が存在しない、ゲームの貸し借りができない、必ずSteamサーバが稼働している必要がある、Valve社が潰れた場合は購入したゲームを道連れにされる、など。
ベンダー側の利点としては、不正コピーを防止できる、パッケージが無くなるので在庫を抱える心配が無い、長期的な販売ができる、Valve社のみと契約するだけで世界中のユーザーを相手にできる、「中古販売」を抑止できる、など。また、物理的な流通が無くなることによって価格を引き下げることができるので、ゲームを安価に提供できる(=ユーザーにとってのメリットになる)。
ネットワークが発達した時代だからこそ成立する新しいゲーム流通の形であり、多くの人間にとって多大なメリットがあるため、販売ゲームの数が徐々に増加している(Steamのゲームタイトル一覧 – Wikipedia)。
ただし、Electronic Arts社といった余所のゲーム販売会社から発売されているタイトルはあまり出てこない。一方、Eidos社のようにSteamと契約し、タイトルを徐々に増やしている会社もある。
ところがこのネットワーク配信には、大きな落とし穴が一つ。それは、言語の壁の問題。
Steam社を運営するValve社は米国の会社。ということで、販売されているタイトルは英語の物がほとんど。英語以外は、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、スペイン語辺りの言語をいくつか見かける。では日本語はどうかと言えば、Half-Life 2シリーズを1本とカウントすれば、恐らく片手で数える程度しか無い。「Half-Life 2」シリーズ以外は、「Lost Planet」、「Ninja Reflex」…しか知らない。
この理由としては、日本での販売を請け負う法人や代理店を通さない点にある。
販売代理店を通さななくて済む事はSteamのメリットの一つではあるけれど、それによって日本語へ翻訳される機会が失われてしまう。ちなみに、「Half-Life 2」等は開発元が日本市場も視野に入れていたため、最初から日本語版が存在している。
また、以前日本の代理店を通して日本語化されたゲームがSteamで再版されたとしても、日本語版は出てこない。例えば、この前見事に映画化された「Hitman」は以前、日本の代理店から日本語版が発売されていたけど、Steam再販に日本語版は存在しない。
自分は海外ゲーム遊ぶ上で、今さら日本語なんて全く期待はしてないけど、PCゲーム市場という視点で見れば、日本語版が失われる事は決して好ましい事ではないと思う。自分で言うのもアレだけど、英語で意味が分からなくても気にせず遊んでしまう人間なんて、かなり希少性の高い人間かと(笑)。
しかし、Steamの影響が拡大する事で、代理店を通して売られるパッケージを購入する人間が減少し、日本語版パッケージがどんどん減っていく可能性がある。
日本では元々コンシューマー市場が圧倒的な力を持っている事にも後押しされ、このままではただでさえ少ないPCゲーム人口がさらに減ってしまう可能性が十分に考えられる。
ただ一方で、Steamに参入してる日本企業が一社だけある。ゲーム業界でも有名なCAPCOM(2008-06-14追記:後から知ったけど、SEGAも参入してるのね。もっとも、これはSegaの米国法人のようだけど。)。「Lost Planet」の開発及び日本語版の販売を行っているという事で、割と積極的な姿勢を見せている。しかし、「Onimusha 3」「Devil May Cry 3」といった、元々日本向けゲームなのに日本語版が存在しない物もある。
この辺りから察するに、とりあえずPCゲーム市場にちょっかいかけてみたけど、日本であんまし売れないからもういいやー、ってな結論になったのかもしれない。
CAPCOMには是非とも、Steam上で日本語版ゲーム販売のリードを期待したいのだけどな…。
個人的には、Steam上のゲームを翻訳する正規の業務を行う企業が現れて欲しいと思うのだけど、現状では難しいかな…。となると、ユーザーが作り出す日本語化MODといった物に依存するしかなくなる。しかし、それでは軽くゲームを遊びたいというライトユーザーに対してあまり優しくない。
あとは、英語力をひたすら強化するしかない(笑)。しかし、それは個人の努力でしかないわけで本質的な解決ではない。
全体を見れば、Steamの功はかなり大きな物があると思うけど、こういった部分で影響が現れてくる可能性が見えてくると、少々考え込んでしまう。
言語の壁は色々と乗り越えるハードルが高そうだ。
追記
々検索してたら面白い文章にヒット。
高校生なのに面白い事書くなぁ、と感心してしまった(笑)。
追記
現在自分のアカウントで遊べるゲーム一覧。
ちなみに、半分以上遊んでません。我ながらよく集めたと思うけど、複数のゲームを集めたパッケージが安価で購入できるので、ついつい何度か手を出していたらこんな数に(笑)。
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