概要
キヤノン:PowerShot G7 X Mark III|概要
この記事では、最近新しいカメラとして、Canon PowerShot G7 X Mark IIIという機種を購入したので、その感想について書いている。
ちなみに、私自身はカメラについてそれほど詳しくなく、「気付いたタイミングでパッと構えてサッと撮れてそれなりに綺麗で必要な情報が記録できればOK」みたいな感覚なので、画質の良し悪しを追求するようなユーザーの意見とはだいぶ方向性が異なる点についてはお断りしておく。
購入動機
以前までカメラは、SONY DSC-HX50V というコンパクトデジカメを使っていた。ところが、最近旅行に行ったときにいつの間にか写真の撮影設定が切り替わっており、このカメラで撮影した写真が低画質となってしまっていた。(あまり設定を切り替えていなかったので、気付けなかった。まさか切り替わるとは思っていなかったので…。)
原因はよく分らないが、とりあえずこのまま使うのも気持ちが悪いので、新しいカメラに買い換えることにした。
そもそもこのカメラ、かなり古い機種だった(買った時点で中古だった)ため、これを機に機種変更しようと思い立ったというのもある。
古すぎるためか、Google Photoにアップロードした写真のタイムスタンプに時差が記録されず、UTC時間として扱われてしまう(-9時間で判定される)という問題に頭を悩ませていたり、GPSの検出速度が遅かった点も理由として挙げられる。
選択理由
冒頭に書いたように、変更先の機種は同じくコンパクトデジカメのCanon PowerShot G7 X Mark III となる。
コンパクトデジカメは、近年では携帯電話のカメラに市場を取られてしまい、かなり市場を縮小しつつある。近年では携帯のカメラもかなり性能が良くなっているため、これでもそれなりに綺麗な写真を撮れる。それでも自分がコンパクトデジタルカメラを求めるのは、次のような理由がある。
- ポケットに入るぐらいの携帯性 (胸ポケットに入るかどうかが基準)
- 携帯カメラに比べて画質がそれなりに良い
- 光学ズームがが使える
特に携帯性はかなり重要視しており、一眼のような大きなサイズのカメラを選ばない理由はこれが非常に大きい。服の胸ポケットに入ると両手がフリーになるので、旅行先でも行動を阻害しない点はかなりのアドバンテージとなる。私は別に写真を撮るために旅行に行ってるわけではなく、カメラのために行動が制限されるのは本末転倒であると考えているので。その上で、多少雑な撮り方でも携帯カメラより綺麗な写真が撮れるというのは、かなり魅力的に映る。
その上で今回、コンパクトデジカメを選ぶに当たって次の機能を持つカメラを選択した。
位置情報が手軽に記録できる
これは自分にとってカメラを選ぶ上での絶対条件。写真を撮影する際に位置情報を記録することで、後から写真を見返した時にどこで撮影したものかをすぐ確認できるようにしたいので、カメラを選ぶ際に位置情報の記録ができない機種は最初から候補にすら入れていない。ちなみに、前機種のDSC-HX50Vも、GPS機能の有無で選択した経緯がある。さらにその前に使っていた機種もGPSで選んでいる(CASIO EXILIM EX-H20Gという機種で、位置情報の検出性能が非常に高かった…)。
一口に位置情報の記録と言っても、デジカメの機種によっていくつかの方法がある。
- カメラに搭載したGPSで、撮影時に位置情報を写真に記録する
一番シンプルな形。しかしGPSなので屋内での位置情報記録は期待できない。位置情報が補足できない場合、位置情報が記録されなかったり、前に検出された位置情報を記録したり、機種によって色々。最近のカメラはほとんどGPSを搭載していないため、利用できる機種は限られてしまう。 - カメラと携帯をBluetoothで接続し、アプリを使って撮影時に携帯の位置情報を写真に記録する
最近はBluetoothで携帯と接続できるカメラがあり、その中には撮影時に携帯の位置情報をカメラの位置情報として記録出来る物がある。携帯が位置情報を検出していれば、屋内でも位置情報が記録できるというメリットがある。携帯を常に持っておく必要があるが、基本的に携帯は手放さないのでデメリットとはなりにくい。ただし、カメラと携帯の位置情報を同期させるために携帯で専用アプリを起動しておく必要があるので、やや管理が煩雑となる。 - カメラと携帯を接続し、携帯アプリの操作で位置情報を送信する
これは2と似ているが、微妙に違う。2が撮影時に携帯の位置情報を記録するのに対し、こちらは携帯アプリを操作して記録しておいた位置情報をカメラに送信し、位置情報を後から付与する。アプリで時刻と位置情報のログを記録しておくので、アプリを起動し続ける必要がある上、アプリ操作の手間がかかるので煩雑である。 Bluetooth接続以外に、WiFi接続でも可能な物があるようだ。
個人的に、撮影時にどんどん位置情報を記録してほしいので、手間のかかる3は論外だった。また1の場合は室内での位置情報記録に難があったり、GPS検出までに長い時間待たされる事があったりと、前機種であまり体験が良くなかった。そのため、2の機構が好ましいと考え、本機種を機種を選択した。
ちなみに、GPSやBluetoothによる位置情報が記録できると、カメラ内部の時刻を自動的に補正する機能が付随する場合もあり、大きなメリットとなる(GPSに時刻同期の仕様が含まれているため)。ただ、この機種はどうも含まれていなさそうな気配。よく分らない。(アプリから時刻補正をかけることはできる)
光学手ブレ補正がある
個人的に旅行先では、歩きながら写真を撮ったり、あまりきちんとカメラを構えずに写真を撮ることが多いので、後から見直すとブレのある写真を撮ってしまうことが多かった。そのため、ある程度ブレを補正してほしいという気持ちがあり、手ブレ補正を搭載した機種から選択した。もちろん手ブレ補正は万能では無いことは承知しているので、ある程度補正してくれれば良い。
手ブレ補正は、携帯のカメラだと通常は削られてしまうことが多く、あったとしてもデジタル補正となり、手ブレに対してはかなり弱い。光学補正を持つ機種なら、すぐ構えてパッと撮影してもそれなりの画質で撮れるようになる(はずな)ので、自分のような使い方をする人間にはメリットが大きい。
手ブレ補正はメーカーや仕組みによって性能は異なるが、Canonの機種は比較的評判が良いという点も選択のポイント。
暗所に強い (手持ちで夜景が撮りやすい、星空が撮れそう)
基本的にカメラは暗所の撮影が難しい。カメラの仕組み上、光が少ない場所での撮影はそれなりのやり方や手順に従って撮影しないと、写真が大きくブレてしまう。携帯カメラでは特にここは弱い部分なので、暗所撮影しやすいならデジカメを持つメリットも大きくなる。
暗所と言っても色々あるが、自分はとりあえず夜中に夜景を手持ちで撮影する事を想定していて、あとカメラ固定で星空の撮影が出来ると嬉しい、という気持ちがあった。ただ、そもそもコンパクトデジカメはレンズのサイズが小さく、暗所を撮影するには不向きである。暗所の綺麗な写真を撮るためには、一眼のような大きなレンズを必要とする。ただ、それでもコンパクトデジカメという枠組みの中で、多少なりとも暗所が撮影しやすい機種というものがある。
その点で本機種は、手持ち夜景モードや星空夜景モードというものがあり、暗所撮影向けの設定が用意されている。レビューサイト等に掲載された夜景や星空等の写真が綺麗に映っているため、性能的には十分に感じた。その他、シャッター速度の調整が30秒まで出来たり、F値がF1.8~となっていたり、設定次第で色んな撮影方法が出来そうに思えた点は魅力的だった。
USB type-C端子から充電出来る
これはかなり重要な点で、カメラを持ち運ぶ際に一々充電器を持っていくのは絶対に嫌なので、携帯の充電が出来るUSB電源アダプタから充電できる事は絶対条件となる。また、近年ではmicroUSBはどんどんUSB type-Cに置き換わっており、将来的にはtype-Cに統合されていくため、type-Cである事は必須。もっとも、近年の機種はほぼUSB充電に対応しており、端子もtype-Cになっているようなので、これはそれほど難しい条件ではないようである。
本機種ももちろん、USB充電に対応しており、type-C端子を搭載していいる。ただし、やや厄介な問題を持っている(後述)。
使ってみた感想
今回、Canon PowerShot G7 X Mark IIIをビックカメラで新品購入。中古とかも考えたが、それほど安くはならないし、保証等を考えた場合に新品の方が良いと判断。比較的高級な機種で価格は高いため、いざという時に保証が効く安心感はある。
その上で、この機種を使ってみた感想を少し書く。
位置情報の記録
まず購入して真っ先に確認したのは、位置情報の記録について。とにかく位置情報の記録は最優先事項なので。
カメラと連携するためには、Canonからリリースされている専用のアプリ「Canon Camera Connect」が必要となる( Android / iOS )。
自分はAndroidをメインで利用しているため、Androidアプリを使ってみる。
カメラで位置情報を扱うためには、次の操作が必要となる。
- カメラの設定で、 「Bluetooth設定」を「使う」に、「GPSの設定→スマートフォン連携」を「する」に設定する。
- 携帯とカメラをBluetoothでペアリングする。
- アプリにカメラを登録する。
以上の操作を完了後、アプリを起動してカメラの電源ONにすると自動的にカメラと接続され、カメラに位置情報が送信されるようになる。カメラ側には「GPS」と書かれたアイコンが表示され、位置情報が記録可能な状態であることが分かる。
位置情報を取得中の場合、Androidのステータスバーにアイコンが表示し続けた状態となる。この時、アプリ画面を閉じて画面をOFFにしても、カメラには位置情報が送られるため、携帯をカメラやカバンに放り込んでも(位置情報が取得出来ていれば)位置情報はカメラに送信される。ちなみに、入手時点のバージョンではアプリに位置情報取得のON/OFFが切り替え設定があったが、現バージョンのアプリではできないようである。
この状態でいくつか写真を撮影してみたが、撮影した写真には期待通り位置情報が記録されていることが確認出来た。電源ONからの接続も結構早い。そのため、写真へ位置情報を手軽に記録するという目的はきちんと達成されており、実用に問題が無いことが分かった。
ただし、問題が無いわけではない。これは主にアプリの出来の問題である。
- 携帯とカメラの接続が不安定なのか、接続しようとしてアプリが一定時間固まって、タップしても操作が反応しないことがよくある。
- 常駐するアプリの管理が謎。いつまでもステータスバーに残っていたり、いつの間にか消えたりする。つまり、使い終わったのにいつまでも残っていたり、使おと思ってもいつの間にか停止してたりするので、非常に厄介。クラッシュして終了しているのか、タイムアウトしているのかは分からないが、とにかく、常駐の起動・終了はユーザーが手動で行えるようにするべきであると思う。
- カメラとのWiFi接続は基本的に使わないのだが、アプリがWiFi使う機能を選択すると未確認で勝手に繋ぎに行こうとする。その間。接続のインジケーターが表示されたりして邪魔になる。カメラ側のWiFiを切っても、接続できないダイアログが表示される。基本的にWiFiでカメラと接続するのは特定の機能を使うときだけなので、未接続の場合は画面から機能使えないようにしてほしい。
等々といった感じで、アプリの出来があまり良くなくて、作り手がこのアプリを真面目に使ってるようには見えない問題が多々ある。特に常駐が勝手に終了する問題はかなり厄介なので、早々に直して欲しいところではある。
一応自分は本業がAndroidアプリ開発者なので、この出来の悪さが気になっている。推測するに、
- 開発者がServiceの扱い方を分かっておらず、動作についての理解が浅い。(Serviceがメインスレッドで動いているのを理解していない)
- 同期処理の実装を知らないか、または理解していない
- UIに対するレビューができていない。またはレビューしたり報告したりする体制・文化が無い。
という感じの開発体制だとこんなアプリが出来るかもなぁ、と想像しているけど、自分の勝手な妄想以上の物ではない。(開発を請け負えればいいのに…)
暗所での撮影
それ以外で気になっているのは、暗所の撮影について。携帯や前のカメラだと暗所で撮影すると手ブレが酷くなりやすいので、いくつかの暗所で写真を撮影してみる。撮影は、自動検出任せで手持ち撮影…要するに、あまり設定を気にせずパッと撮影してみた写真となる(サイズが大きいので縮小済み)。
こちらは、先日大谷資料館で開催された、メイドインアビスとのコラボイベントで撮影した写真。地下空洞にあるので結構薄暗い場所であるが、手持ちで撮ってこれぐらいの画質になった。個人的には、このレベルで撮影出来れば目的の品質は満たせているので、全く問題無いレベル。2枚目はパネルが遠くにあってズームを使って撮影したが、とても綺麗に撮影できていると思う。
こちらは、某所の夜景となる。完全に夜なので周りは少し街頭の明かりががあるぐらいで、結構暗い中での撮影となる。何も考えず手持ちでもこのレベルで撮影出来るのであれば、個人的には全く申し分ない。
というわけで、暗所での撮影は個人的に満足のいくレベルであると感じた。以前から暗所での撮影はどうしてもブレブレになるので苦手だったのだけど、このレベルで撮れるなら積極的に使っていきたいところ。
USB充電
USBからの充電は仕様上出来る事は分かっており、早速試してみたが、一つ厄介な問題があることが分かった。それは、この機種はUSB PD(Power Delivery)という高速充電規格に対応した充電アダプタを使わないと充電できないという点である。それはたかだがコンパクトデジカメの充電にどうしても必要な仕様なのか…?という気持ちはあるが、最近の充電アダプタは比較的対応している事が多いので、それほど厳しい条件ではない。ただ、バッテリーから充電しようと思った場合はPD対応していない場合もあるので、その辺りは注意が必要である。
個人的には、どんな環境でも使えるように、PD対応して無くてもゆっくり充電できるようにしてほしいところではある。
その他
その他の気になった点としては、次のようなものがある。
- タッチパネルなので操作に迷ったらとりあえずアイコンを押すとメニューが出たりするので、ある程度直観的に操作できるのは有り難い(一々操作覚えるのめんどくさいので)
- 起動から撮影可能になるまでの速度は結構早いの助かる
- 撮影した写真をGoogle Photoに節約画質でアップロードしても、何故か画像に圧縮がかからない。これは前機種でも発生していて、アカウントのストレージ容量を圧迫しているのが厄介。これは、撮影機種によって発生したりしなかったりするらしい。何とかならんものか…。
最後に
そんなわけで、まだ少し使い始めたぐらいだけど、求めていた機能は概ね満たしているので、満足感はかなり高い。まぁそれなりに高級な機種なので、これぐらいは出来て貰わないと困るけれど…。
今は本当にカメラのスペック任せで撮影しているけど、それでもかなり綺麗に撮れる点はとても良い。ただそれでも物足りなさはあるので、細かい撮影技術についてはおいおい学んでいきたい。
近年のカメラはGPS機能が削られ、位置情報を記録する手段がかなり絞られてしまうので、それが代用できる点についてはとても評価している。位置情報は後から見返す時絶対に欲しいので、これが無いとカメラを買う意味が無いと考えてるぐらいには重視している(逆に言うと、普通の人はそれほど位置情報の有無は気にしないのか…個人的には信じられないけれど)。ただまぁ、アプリはもっと真面目に作ってほしい。
近年はコンパクトデジカメ市場は携帯に食われて壊滅的になっているけど、可搬性が高くてそれなりに高画質な写真が撮影出来るコンパクトデジカメは個人的にはかなり有用なデバイスであると思っているので、デジカメ市場にはもっと頑張ってほしいところではある。
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