B-CASに変わる新方式導入へ。早期運用開始を目指す -AV Watch
B-CASカードの新方式検討も–総務省の専門委員会:ニュース – CNET Japan
何やらB-CASに変わる新しい著作権保護方式が検討されているようだけど…、自分としては「そんなの今さら無理でしょ?」と思わずにはいられない。
「Friio」が登場して以降、B-CAS方式の構造的欠陥が周知され、デジタル放送の著作権保護方式としてあまり意味を為さなくなってしまった。
しかし、B-CASによる認証方式は既に日本中で使われているTV/レコーダに搭載されているため、これを今さら変更するのはまず無理だろう。地上デジタル放送対応受信機の普及率は、2009年1月の段階で、いまだ50%に満たないとう調査結果が得られているけれど、逆に言えば半数近くが対応機器を持っているわけで、普及率としては十分ではないけれど、無視するのは到底不可能な数字だ。
TV放送なんて日本中に影響を及ぼす非常に大規模な分野なのだから、流通システム、配信・流通方式、認証方法、ユーザーのニーズ、色んなで分野で検討に検討を重ねて実施する必要があったはずなのに、その様子があまり見えてこない。最初の段階でどの程度検討が行われたのか、一般消費者である自分には全く知る由もないけれど、十分な検討が行われたとは思えない。検討が行われていれば、他の機器のB-CASカードを流用してチューニング可能にするFriioやPT1のような機器が登場する事は容易に想像できたはず。
もうね、完全にプロトコル設計のミスなんだよ。最初のボタンをかけ間違えてるんだから、元に戻るわけがない。
それはさておき、今回の新方式が一体どんな方式なのかと言えば…。
なお、新方式の導入については、基本的に「基幹放送である地上デジタル放送向け」とし、すでに約5,000万台の機器が普及しているB-CAS方式も存続を前提する。新方式は新たな選択肢として位置づける。
・ライセンス発行・管理機関は、コンテンツ保護にかかわるルール遵守を約する受信機メーカーやチップメーカーなどに対し、コンテンツ保護機能にかかわる仕様を開示
・受信機メーカーは仕様に沿った機能をソフトウェア化あるいはチップ化したものを受信機に搭載して出荷
・視聴者は、購入した受信機で、アンテナ接続やチャンネル設定などを行なえば、そのまま視聴可能
技術方式については、3重鍵方式の導入を予定しており、放送波、受信機、鍵を運ぶためのコンテナの3種類の鍵を使う見込みという。既存機器との互換性を確保しながら、有料放送にも影響を与えないということに留意。新方式のためのコストも最小限化するよう検討する。
方針だけで具体的な部分があまり見えないのだけど…。
えーっと…既存のB-CAS方式を残すのであれば、新方式を提案する意味が全く無いんじゃない?あと、そんな複雑な認証プロトコルを組み込んだ機器の製造コストをメーカーに押しつけるの?それを実装するメリットは?選択肢を加えたところで、一体誰がその「選択」をするの?
色んな意味で突っ込みどころがあるような気がするんだけど…これは途中でポシャる可能性がかなり高い。普及を後押しするには必ず需要が必要になる。そして、これは誰も望んでいない物だ。そんな物が広まるとは思えない。
たぶん、テレビ業界がどんなに足掻こうと、テレビ離れは止まらないし、著作権保護方式も無意味なままだ。その現状を受け止めて、自分に都合の良い流れに誘導するよりも、その流れに沿って自分が変わる方がずっと楽だし、建設的だと思う。
ちなみに、自分はテレビ(アニメ)が結構好きなので、TVというメディア自体は無くなってほしくないな、と思っていたりする。
余談だけど、B-CAS方式はCSやBSの有料放送の認証には悪くない方式なんだよねぇ。有料放送の契約をしたカードを差し込めば、(チューナーが乗っていれば)どの機器でも有料放送が見られるので便利といえば便利。というか、それが本来の使い方。これを無料のデジタル放送まで適用しようとするから無理が来る。新方式でB-CASが使えない場合、その辺はどうなるんだろ。完全に機器にヒモ付け?
あと、B-CASの議論でたまに「B-CASを差し込む手間云々」という話が出るけれど、別に最初に1回差し込むぐらい誰でもできるでしょう?というか、テレビを配送してくる兄ちゃんがやってくれたりするし(自分の場合はこれ)。この意見は何か的外れだなー、という気がしてしょうがない今日この頃。
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