オカネクダサイ

私的録画問題に関する当協会の基本的考え方について[pdf]

「ダビング5でもタイムシフトでも製作者への還元は必要」
アニメを録画されると利益が減るから「私的録画補償金が必要」と日本映像ソフト協会がめちゃくちゃな意見を表明 – GIGAZINE
スラッシュドット・ジャパン | アニメは録画されると利益が減るから補償金が必要?

日本映像ソフト協会が、私的録画補償金に対する見解を表明。
日本映像ソフト協会は、映像ソフト産業の調査、取り決め、振興等を行う社会法人。どういう人間で構成されているのかは、以下のページを参照。
協会概要|社団法人日本映像ソフト協会

3 放送される映画の著作物については私的録画補償金制度が必要

(1)タイムシフト目的でもフィードバックは必要である

放送される映画の著作物については、パッケージ商品として提供されるものとは異なり、タイムシフト目的での録画など一定限度でコピーされることが避けられないかもしれません。しかし、そのコピーが、映画製作者に何らのフィードバックのないままに行われることは正当ではありません。
学校で英語を担任する教師が授業で使用するために洋画の一部を複製するような場合はともかくとして、映画の著作物そのものをまるごと鑑賞する目的で行われる私的録画は、映画製作者が資本を投下して製作した映画の著作物の経済的価値を、その製作目的に照らして本来的な態様において利用・享受するものです。そうである以上、上述のとおり、そのような私的録画からは、映画製作者に対して何らかのフィードバックがあってしかるべきです。

(2) 放送からの録画によるパッケージビジネスに与える影響は大きいし、仮に直接的な売上げ減がなくても、私的録画補償金が必要

 放送からの録画のうち、特にアニメーション番組に関しては、その多くは放送事業者ではない者によって製作されていますが、製作者は、放送そのものによっては製作資金を回収することはできません。製作者にとって製作資金の主たる回収源は、放送後に発売されるDVDなどのパッケージ商品です。このようなビジネスモデルにおいて、放送されたアニメーション番組が大量に私的録画されると、その後のパッケージ商品の販売に耐え難い悪影響が生じます。
このように、特にアニメーション番組など、製作者が放送後のパッケージ商品等によって投下資本の回収をはかっている映画の著作物については、私的録画による「逸失利益」の発生が顕著です。
パッケージ商品の発売が先行することの多い劇場用映画の放送に関しても、パッケージ商品の販売及びレンタル並びに有料配信は一定の時期に終了するものではなく、放送後においても継続して行われているのですから、放送からの私的録画による何らかの「逸失利益」は生じていると考えられます。

以上のように、放送からの私的録画により「逸失利益」の発生はあると考えられますが、冒頭で述べたとおり、必ずしも直接的な売上げ減が生じているかどうかが重要なのではありません。パッケージ商品発売後に行われる放送からの私的録画といえども、映画の著作物の経済的価値を本来的態様において享受する行為であり、そのような私的録画からは、直接的な売上げ減の発生の有無にかかわらず、映画製作者に対するフィードバックが必要であるからです。
そして、そのフィードバックは、私的録画補償金によって実現するほか、現状においては適切な方法がありません。

とりあえずそっくり引用してみたけど…こんな理屈を並べ立てる姿勢には、さすがに自分もどん引きしてしまう。

とりあえず、タイムシフトをする事のどこら辺が正当でないのかが全く理解できない。タイムシフトしないと見られない人は正当な客ではない、という事?
恐らく、テレビ録画する人はCMを飛ばす&視聴率に繁栄されない=好ましくない、という理屈なのだと思うのだけど、それはとてつもなく近視眼的な物の見方にしか思えない。そもそも、それは放送という流通形態の問題であって、消費者に補償を求めるのはどう考えてもお門違いだと思うのだけど。
アニメの補償金についての件は、GIGAZINEさんが非常に分かりやすく丁寧に突っ込んでいるので割愛。

この文面に書かれた内容は、自分の素人目に見ても十分おかしいと思う。というか、どう見ても「オカネクダサイ」と連呼しているようにしか見えない。
映像産業としては、本当にそんな姿勢でいいの?これが本気なら、産業として相当に腐った状態であると言わざるを得ない。

ところで、そんなに視聴率がほしいなら、いっそのことメーカーと映像業界が結託して、各チューナーに見ている番組をネットワーク経由で送信する機能でも埋め込んでしまえばいいのに、と思う。自分は視聴番組情報を送信された所で全然気にしないですよ?個人情報云々は、視聴情報の送信ON/OFFがユーザー側で任意に切り替えられるようにすれば問題なし。実際、東芝のレコーダにはそういうメーカー単独の機能があるしね。
視聴率送信可能な状態にした人に対して、何らかのフィードバックを与えるようにすれば、それなりの数は確保できるんじゃないかなぁ、と。
まー、今さらやっても手遅れだとは思うけど。

追記

全然関係ないけど、「SPEED GRAPHER」は大好きです。


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コメント

“オカネクダサイ” への2件のフィードバック

  1. 匿名

    いつも楽しく拝見させていただいています。一消費者としてこのエントリにすごく共感しました。
    この件に関しては、僕もドン引きしましたし(笑)。

    でも結局は消費者が甘く見られているということじゃないかなと思ったりしていて。
    文句言っても何しても、ルールなりなんなりを制作者側が作ればそれに沿って今消費している人は残るろうと考えてるのかなと思います。

    つまり、この分野の消費低下傾向下において、無茶しても大勢にそんなに影響しないだろうと思っているんじゃないかと。メディアのありかたが変わってきている今、取れる客層で取れる仕組みを今のうちに作ってそれを常識化してやろうという企業の論理です。

    あとは、僕も営業職で働いているので(melog様より年下かなと思いますけど、大卒で働いてます。)
    担当者が数字を稼ぐのに必死だなとしか(笑)もうこの数字を稼ぐという理由しかないだろうとも思えるくらいで(笑)

    でも、結局は一人一人が消費行動によってどうにかするしかないし、クレームなりなんなりで企業にダメージを与えるしかないのかなという感もあって。

    一人の消費者としての違和感と無力感と、同じく働いている人間として同情感があったりして、気持ちは混沌としちゃいます

    とはいえ、普通はこんな論理的・倫理的におかしいことやらないと思うんですけどね・・・僕は金融業界にいるんですが、こんなおかしいことやったら、政府から介入されたり、新聞やらテレビやらから死ぬほどバッシングされると思うわけで。それだけ切迫しているということなのかもしれないですが。

  2. 海水瓜

    コメントありがとうございます。
    私は技術職でして、営業側の方の話を聞く機会が無いため、参考になりました。

    数字があると結果や成果が定量化されて示されるため、目に見える結果が期待できる一方、数字を求めることに躍起になって本来の目的が失われてしまう、というのは良くある話ですね。視聴率も然り。
    ただまぁ、数字作りのために一方的な理屈を押し通される方はたまりませんが(笑)。

    > でも結局は消費者が甘く見られているという
    > ことじゃないかなと思ったりしていて。
    > 文句言っても何しても、ルールなりなんなりを
    > 制作者側が作ればそれに沿って今消費している
    > 人は残るろうと考えてるのかなと思います。

    恐らく、そういう事なんでしょうね。
    そして恐らく、実際多くの人は補償金程度の価格が録画機器に上乗せされたところで気にもしないでしょう。表面に表れてこないですし、補償金の対象からすると微々たる金額になるでしょうし。
    つまり、支払った金の実態が見えにくく、その正当性を考える機会も無い。今回はそこにつけいろうと考えているのだと考えています。
    ついでに言えば、今は原油高騰によってあらゆる物の物価が向上しているため、そのどさくさ紛れという意図があるのかなー、とも思っていたり。

    ただ私自身は、テレビ…というかアニメが大好きですし、DVD買ったりしてしまうので、権利者の言う「理想の」消費者像であると思います(笑)。それ自体は別に恥じ入るような事でもないですが、日本映像ソフト協会が見ているのは、正にこの自分のような人間の足下なのだろう、と思います。

    そんな自分なので、生憎と不買運動等といった形で抵抗する事は難しいのですが(笑)、少なくとも無茶な理屈を振りかざして必然性の無い金銭を支払う事に対しては異を唱えていきたいです。

    > とはいえ、普通はこんな論理的・倫理的におかしいことやらないと思うんですけどね

    確かに、自分もこれは気になってました。普通の人間にはできない発想と理屈だな、という不自然さを感じます。コンテンツ産業の特殊性が生み出す歪みなのかもしれませんけど…。

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