どうなる、コピー問題

「ダビング10を人質にしてはいない」。権利者団体会見

デジタル私的録画問題に関する権利者会議は29日、コピーワンス問題と私的録音録画補償金制度に関する合同記者会見を開催した、という話。

記事の中では権利者側が、いかにして補償金を得ようと奮闘しているかの涙ぐましい努力を必死でアピールしている…ようにしか読みとれない。
自分としては、この記事で一番の注目所は以下の点だと思う。

「そもそもコピーワンスの問題の発端は“メーカーの落ち度”」と説明。「ムーブの失敗やクレームは、メーカーの技術力の未熟さとサポート体制の不備によるもので権利者と何の関わりも無い」とし、「補償金制度の範囲内で、できうる限りの可能性を模索した結果、ダビング10が生まれた。

…コピワンなんつー無理な物に固執してきたのはお前らだろ!そもそものコピワンの仕様設計だダメだったというレベルの問題なんだよ!お前らは思いっきり当事者じゃねーか!…と言いたくなった。
スラッシュドット・ジャパン | コピーワンスのムーブ失敗は、メーカーの技術力の未熟さゆえか?」辺りを読んでいると、どうやらコピーワンスはコピー時に元のデータを60秒以上保持してはいけない仕様だそうだけど、そもそもそんなアホな仕様なら失敗してもしょうがないと、技術畑の人間としては思う。最低限、完全にコピーが完了した後にベリファイが成功した段階で消去、という段取りを踏まないと、とてもダビング保証なんてできない。日本のメーカーの技術力は低いとは思わないし、日本のメーカーに実装できなければ、他のどんなメーカーにも難しいように思います。

しかし、メーカー側も災難な話だ…。コピーワンスなんてヘンテコ仕様を押しつけられて、不安定ながらも辛うじて実装したかと思えば、技術力不足と詰られ。しかも今度は、オリンピックの目玉として売り出そうとしてた「ダビング10」は結局延期。これだけ馬鹿正直に付き合って、いい面の皮だ。そろそろメーカー側は本気で怒っていい。ああそうか、だから今度はさすがに抵抗してきたのか。
JEITA / プレスリリーススラッシュドット・ジャパン | JEITA、「iPod課金」は受け入れられない

あと、今回の記事でもう一つ面白いのは以下の点。

新たに表明されたという「懸念事項」は、(1)「(補償金の対象となる)HDD内蔵の一体型機器は汎用機と区別がつきにくく、いずれ汎用機の指定につながる」、(2)「制度が縮小していく保証が無い」とのもの。

2については、「拡大していく“ネットの世界”を補償金の対象から外す。まさに制度が縮小していくことの最大の根拠」と反論した。

えー…、すいません、この理屈が全然分かりません。つまり、元々ネットにも補償金をかけるつもりだったという事?「補償金制度は縮小予定のはずだろ?」→「だから影響が拡大しているネットに補償金やってないでしょ」→「全体の割合としては減ってる!ふしぎ!」…という解釈でよろしいのでしょうか?こちらは全然よろしくないのですが。それ縮小って言わないよね。子供の屁理屈にしか見えないのは私の頭が悪いからでしょうか。

あと記事中で気になったのは、以下の点。

「“とあるメーカー”が極めて原理的に拒否反応を示し、議論の経緯も学習しないまま、さまざまな策を弄してJEITA内部で多数派工作を行なった結果、と聞いている。

このメーカーは一体どこでしょうか。是非とも今後贔屓にしたいので教えてください。

最近の著作権絡みの記事を色々目にしてきたけど、何かもう権利者側の酷い主張にはもう付き合いたくないです…、というわけにもいかないんだろうなぁ。自分にとっても色々と関わりのある事柄だけに。

余談だけど、このコピワンや補償金を迫る人々を「権利者団体」とか「著作権者団体」という言葉で一括りにしてしまう事に、昔からずっと違和感を抱き続けている。著作権を管理、運用する事を業として行っている人々の事を指していると思うのだけど、世の著作物はその団体が管理している物だけでないのは当たり前で、そんな物はむしろ世に無数に存在する著作物の一握りでしかないわけで。そんな団体が、さも「我々は著作権を憂える人々の代表だ」みたいな態度と名前を誇示している様子が、非常に迷惑に感じる。
著作権の運用の在り方は、所謂「権利者団体」が示すような形だけでなく、もっと多様であっていいと思う…というか、あるべきだと思うのですよ。
もっとこう、きちんと別の名前を与えた方が良いと思うのだけど。あー、何か良さそうな名前があるな。そう、アレだ。守銭奴。


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