フジテレビとGONZOの共同企画。GONZOが自ら製作も制作も行うアニメ映画。昨日見てきた。
結論から言ってしまえば、面白くなかったなぁ、と。以下ネタバレ感想。
全体を通して強く感じるのは、脚本の力不足。イメージとしては、そこら辺に転がっているファンタジーRPG作品から、必要な場面だけを切り取って映像化し、それを等間隔に並べている感じ。「等間隔に並べている」というのはつまり、どの場面を強調するのか、どの場面を省略するといった事を考えず、決められた時間枠に収めるよう淡々と展開を進めているような感じ。それゆえに様々な描写が不足し、首を傾げるような場面が多い。何というか、「TVアニメと同じ感覚で作ってたら尺が全然足りませんでした」みたいな。
まず一番最初、主人公が扉に向かうまでの過程がとても駆け足で、この時点でかなり置いてきぼりを喰らってしまう。展開がどれも唐突で、主人公が運命を変えようとする決心、扉が運命を変える物であると確信する過程、といった物がまるで感じられない。せめて、主人公の家庭がもう少し崩壊気味である事を指し示す場面があればマシに見えたのに、主人公が家に帰ってきたら突然親父が家を出る、という展開はさすがに呆れてしまう。
扉の向こう側の辿り着いた先でも、初っ端から「~せよ」というRPGのお約束的なお使いから始まり、なし崩しで主人公がそれに従っている辺りで、とても脱力してしまう。また、「5つの宝玉を集める」という目的の割に宝玉を手に入れた場面が何かとてもいい加減で、最後の場面で「え、いつ4つも集まったの!?」といった感じで。今考えると、あの女王が渡した宝玉が4つ目だったんだなぁ。あと、伏線もなく次々に新しい展開を持ってくるので、どの場面も取って付けたような印象を受けた。何の前触れもなく、いきなり帝国という存在とか持ち出してきた時はもう真面目に見る気力も無くなったよ。
また、設定がどれも本当に特徴のないRPGみたいな物ばかりで、あまりオリジナリティを感じない。
本当はもっとたくさん突っ込みどころがあるのだけど、一々挙げるとキリがないので省略。
あー、でも絵は悪くない。劇場版としてのクオリティは保ってるんじゃないかな。
…そういえば、これと同じような感想を以前も書いたような記憶があるなー…って、「銀色の髪のアギト」だった。同じGONZOの劇場作品で、ほとんど同じような印象を受けてしまうというのは…。進歩してないのかねぇ。しかしよく考えたら、「アギト」が公開されたのも今年なんだよなー。
GONZOは、TVアニメーションを常に3本ぐらい同時進行させながらも、劇場アニメを作ることができるような資金力と制作体制があること、TV局をスポンサーにつけて劇場アニメを作るような企画力があること、といった点を見る限りでは、アニメ制作(製作)会社として相当な実力を持っている事は十分に理解できた。しかし、できる事ならその中身の方、特に脚本にもう少し注力してもらいたいところ。
最近のTVアニメを見る限りでは、割と普通に楽しめる作品も作っている様子だし、個人的に「巌窟王」は物凄く楽しめた作品だし、頑張ればもう少しマシな内容が作れると思うんだけどなぁ。
フジテレビの目論見では、GONZOを日本テレビのジブリ作品に対抗できるようなブランドに持っていきたいところなんだろうけど、この内容ではちょっと難しいんじゃなかろうか。
自分としては、「SPEED GRAPHER」「SoltyRei」「ウィッチブレイド」といった幾つかの作品に共通したGONZOっぽいセンス(?)を期待したいところなんだけど、それやったら一般人は引くだろうねぇ(笑)。あるいは、お得意の3DCGを使ったGONZOロボ(「巌窟王」「SAMURAI7」みたいなやつ)を出してくれと(笑)。
まぁ何だかんだ言っても、大人の視聴に耐えるような劇場アニメ作品を積極的に作る気概を見せてくれる所はGONZOぐらいしか無いので、個人的には今後もGONZOの頑張りに期待したいところ。
追記
れにしても、あと見に行く予定の「ゲド戦記」はまるで良い評判を聞きません。どうしましょう。まぁ、それでも見に行くんですが。とりあえずアニオタとしては、地雷と分かっててもあえて特攻したい。
しかしこうなると今夏見に行く劇場アニメの中では、面白さで言えば「時をかける少女」が一番なのかもしれないなぁ。あれは今思い返しても、かなり良い作品だったと思います。
30日 追記
GDHとGAGA 仏ファンタジーを劇場アニメ化 (animeanime news アニメ!アニメ!ニュース)
いつの間にか、こんな話も進んでたのか…。やっぱGONZOの動きは面白いわ。見ていて飽きない。
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