夏に見に行った一つ目のアニメ映画。ちなみに、あと二つ見に行く予定。「ブレイブストーリー」と「ゲド戦記」。
この作品、最近テレビでよくCMを見たので気になっていたのだけど、近くの映画館の上映予定を見ても載っていなかった。そこで公式サイトで上映劇場を確認したら、上映劇場は全国で30館も無い上に、東京内では新宿の1館でしか上映されてないとのこと。
どうしようかと考えていると、ちょうどタイミングの良いことに昨日新宿に行く用事があったので、せっかくだからついでに見に行く事に。こういうのは早く見に行かないとあっという間に上映が終わってしまうしね。
と言うわけで、以下ネタバレあり感想。
内容は、ひょんな事から時を戻る事のできる「タイム・リープ」の力を手に入れた主人公の真琴がこの力を使っていく中で、徐々に周囲との関係に変化が訪れ、それを経て成長していくといった感じのお話。
で、これを見た感想としては「とても面白かった」。
序盤はゆったりした感じの内容でやや退屈だったのだけど、真琴がタイムリープの存在に気付いた以降における、日常の展開のコミカルな展開と、それが徐々に崩れ始めていくシリアスな展開は、とても面白い内容だった。
コミカルな場面は、いかにもアニメ作品らしい映像的な面白さと、タイム・リープによる同じ場面の繰り返しといった演出的な面白さを兼ねていて楽しかった。特に、話のターニングポイントとなる千昭が真琴に告白するのをタイムリープで無かった事にしてしまった辺りは、ここから少しずつタイムリープを使った事による変化が訪れていくという重要な場面でありながら、同様な感じで可笑しく描いてしまったのは結構印象深かったな。ただし、ターニングポイントであるという事を強く意識させられる場面でもあったけど。
あと印象的だったのは、真琴の自転車に乗った功介が果穂を後ろに乗せて坂道を下っていき、それを真琴が追いかける場面とか。自分の自転車のブレーキが壊れている事を知っている真琴が、必死で踏切まで走っていく場面も結構手に汗握る展開だったけど、その後踏切まで辿り着いた真琴が、功介がまだ来ていない事を知りホッとしたところで、唐突にその横を功介が横切る展開は、不意打ちのような衝撃的な展開で、かなりハラハラさせられた。
ただ、いくつかストーリー上分からない点があったのだけど、特にあのおばさんが修復していたあの絵にどれほどの意味があるのかがよく分からなかったなー、と。あの絵の意味がよく分からなかったから、千昭が何故この時代にまで来たのかが今ひとつピンと来なかった。それがこの作品でちょっと残念だった点かな。
あとどうでもいいけど、最後のタイムリープであのタイミングに戻ったということは、あの消化器男はやっぱりまた暴れ出すんじゃないのかなぁー、と思った。
しかし最初にも書いたように、全体的にとても面白くて良くできた作品だと思うので、個人的には割とお勧めしたい。ただし、全国30館未満しかない劇場まで足を運ぶ気力がある人限定で(笑)。うーん、この作品がこれだけマイナーなのは、ちょっと勿体ないなぁ。TV局がスポンサーに無いようなので、TV放送は恐らく数年後にNHK-BSで放映、という形になると思うけど。
ところで、この映画の後にすぐ紀伊国屋書店に行って原作の新装版を買ってきた。もう読んだ。(本全体は1時間ぐらいで読める。時をかける少女の話自体は30分もあれば何とか)
この作品は、多方面でメディア化された作品ということだけど、その原著となるこの作品を読んで思ったのは、「あー、なんかライトノベルっぽい」といった感じで。元々は、中学~高校生を対象にした雑誌の連載という事で、位置付け的にも当時のライトノベルという事になるんだろう。調べてみたらこれ、自分が生まれるより前に出た作品なのね。
ただ、個人的な感覚で言えば、アニメ映画に比べて妙にあっさりした感じの内容だなぁ、と。アニメ映画の方は、タイムリープという物に対して主人公は、戸惑ったり、便利な道具として使ったり、後悔したり、といった様々な捉え方の変化があり、それと共に成長していく様子を感じ取る事ができた。小説は、主人公が戸惑い、真相を究明していくといった内容で、アニメ映画見た後だとちょっと物足りない感じがした。あと、原作はどちらかと言えば、タイムリープのSF的な面に重点が置かれている感じがする。
こういった作品が当時に置いてどれだけ受けたのか、といった点はよく分からないけど、今まで何度も映像化されてきた事を考えると、相応に人気のあった題材なんだろうね。
ただ自分としては、原作よりもそれを拡張した今回のアニメ映画の方が、内容的にもテーマ的にも面白いなぁ、と感じた。
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