ローゼンメイデン 12話

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最終話。
右腕を失って自分が不完全になってしまい、アリスになれなくなったと落ち込む真紅。それをを見て、ジュンは真紅の腕を取り戻しに行く。途中水銀燈の妨害に遭うも、見事真紅の右腕を取り戻した上、真紅の腕の復元まで行ってしまう。そして二人は水銀燈と対決、水銀燈に打ち勝つ…といった感じの話。

水銀燈が何故ジャンク、不完全、壊れた人形といった物に拘わり続けてきたのか。真紅にジャンクと言われることに、何故あそこまで激しく反発し、激高してきたのか。この最終回で、その辺りの事情が明らかになる。それは、自身が不完全な体を持つ事への劣等感や、自分がアリスになれないのではないかという絶望感から生まれた感情。水銀燈がアリスになること、父親に会う事への渇望が人一倍強かったのも、その事の裏返しなんだろうな。それの想いが行きすぎてしまったがために、他のドールをジャンクにして、自分が「完璧」である事を示したかった、と。とりわけ真紅に突っかかっていたのは、真紅が完璧な少女としての理想を掲げ、本気でそれを目指そうとしていたから…かな。
この水銀燈の行動は、勉強がよく出来て「完璧」であったジュンが受験に失敗し、劣等感に苛まれて他者を拒絶するようになった事に通じている。舞台がジュンの夢の中ということを考えると、水銀燈はジュンの負の感情の比喩で、それに打ち勝つ事=ジュンが立ち直る事の表現になっているのかな。そう考える理由はもう一つあって、1話で真紅がジュンに対して述べる「貴方の心にぽっかり穴が空いている」という台詞が、水銀燈の体が空洞になっている事に引っかけているのではないかと考えられるから。
一方の腕をもがれた真紅は気丈に振る舞おうとするも、ジュンに向かって、自分が不完全になってもうアリスになれないと嘆く。このときの真紅の「貴方には分からない」といった台詞は、以前のジュンの考え方にソックリに思える。その真紅に対して「誰だって不完全な部分を持ってる」「足りない物があったとしても、僕が埋める」と言うジュンが、真紅との対比で以前とは違う人間的な部分が感じられて良いねぇ。
それに、真紅の腕を取り戻して腕を修復するシーン、真紅の後ろから真紅を庇うように腕を回している描写なども、ジュンが凄く格好良く見えて良かった。また、真紅が寄り添っている側で真紅の衣服を縫っているシーンも、微笑ましくて好きだなぁ。
そして最後、こざっぱりした服で外へ散歩に出ていったこと、学校の知り合いに会っても物怖じしなくなったこと、自分の部屋に中学の制服を置いていたこと等々から、ジュンが外へ出て行くための一歩を踏み出そうとしている事が窺える。
この辺りの描写は、過去のエピソードの比較等から、ジュンの心の動きや成長が良く感じられて大変良かった。

いやもう、今回は大変気持ちのいい終幕だったと思う。12話という短い話でよくまとめる事ができたなぁ。上に挙げた以外に、戦闘シーンなど結構良くできていた点も評価したい。ただ、水銀燈との戦いが真紅の拳で決着というのも、ちょっと不自然だったような気はするけど…。

全体的に見てみると、手堅く丁寧にまとまった作品で大変面白かったと思う。過去のエピソードや伏線が上手く活かされ、最後の話に上手く繋げていた点が、それを強く感じさせる。1話を見返すと、最終話との対比となっているシーンがチラホラあったり。
いやまぁ、良い点ばかりじゃなくて気になる点は少々ある。結局nのフィールドや人工精霊(ホーリエとかレンピカとか)などのローゼンメイデンの「力」が今ひとつ不明瞭とか、ジュンの修復の能力は何なのかとか、アリスゲーム云々と言っておきながら特定のローゼンメイデン以外は戦う気無さそうで、水銀燈がいなくなった後どうすんのかなぁとか、結局水銀燈のローザミスティカはどうしたのかとか、今回真紅が力を使いすぎると指輪が無くなると言ってたけど、それじゃあ2話の巴は何だったのかとか、その指輪が無くなった状態は真紅にとってどういう状態なのかとか、レディが髪に触らせるのは云々言っておきながら以前その髪でジュンやのりを攻撃してたじゃないかとか、ジュンのアニメオリジナル設定「車好き」が伏線にもなってないどころか話の中で大した意味や効果を持っていなかったような気がするとか。…少々どころか結構あるな。まぁ細かい話は置いておくとしても、ローゼンメイデンの「力」に関しては、演出優先で適当に誤魔化された感じがすることは否めない。
しかし、演出で面白ければある程度ご都合主義やうやむやでもいいという気はするし、実際そういった不満を補って余りあるほど面白かったので、気にしないことに。
また個人的には、登場キャラクターが非常に魅力的だったと感じた。中でも真紅、雛苺、翠星石、蒼星石、水銀燈といったドール達が好きで、これが作品の魅力を存分に引き出していたと思っている。まぁ一番のお気に入りは翠星石なわけだが(笑)。

そんなこんなで、個人的には非常に楽しめた作品だった。12話で終わってしまったのが非常に悔やまれるけど、原作のストックも無いし、しょうがない。それに、12話だからこそこれだけ面白い作品となったとも考えられるわけで。まぁ今後もこれぐらいの面白さを持つ作品が生まれることを願いたい。
ちなみに、以前迷っていたDVDは結局購入することに。

追記

ー、今回も長いな。もっと要点を絞って書かないと…。

余談だけど、最近このサイトにローゼンメイデンがらみの検索ワードで飛んでくる人が多い。というのも、ローゼンメイデン関連の言葉で検索すると、このサイトが結構上位に食い込んでしまっているため。ここはローゼンメイデン好きのサイトであって、ローゼンメイデンのファンサイトでもローゼンメイデンのポータルサイトでもないので、期待された方は残念。それから、「翠星石 エロ」とかで飛んで来られても困りますってば(巌窟王の「エロイーズ」が引っかかった)。


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コメント

“ローゼンメイデン 12話” への3件のフィードバック

  1. ローゼンメイデン 第12話 相当よかった

    ● ローゼンメイデン 第12話「真紅」。最終話です。 ● 真紅(しんく)、かわいーー!!ラブリー!!はぁはぁ。 ● ほんと、すばらしい作品だったバウ。16年の…

  2. suntyu

    確かによくできたアニメでした。
    同感です。
    はじめは、萌え系のおたくアニメと思っていましたが、メッセージが明確な骨太な作品ですね。
    感動しました。

  3. 海水瓜

    コメントありがとうございます。
    自分も最初は、良くある萌えアニメの一つだと思ってたんですけどね(笑)。
    結果としては、作品のテーマもよく絞られていて、良作だと思える作品でした。
    今年は2期が始まるとのことで、今から楽しみです。

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