平成19年3月期業績予想の修正に関するお知らせ [pdf]
マーベラス業績修正で赤字 蟲師好調もDVD悪化(11/7) (アニメ!アニメ!)
この記事を見て、ちょっと気になる記述が。
マーベラスによれば売上高は音楽映像事業の『蟲師』のヒットがあったほか、レンタル向けの旧作DVDの販売が増加し好調であったとしている。デジタルコンテンツでは『ルーンファクトリー 新牧場物語』と『VALHARA NIGHTS-ヴァルハラナイツ-』が好調であった。
また、下期にデジタルコンテンツ部門とミュージカル部門で新作を予定していることから、売上高は当初見込みを上回るとしている。
一方で、DVD市場の環境が悪化していることから、一部のコンテンツの評価を見直すと同時にと償却の前倒しを実施した。マーベラスは、これらは事業リスクを小さくするためとしている。
また、デルファイサウンドのレーベル事業の不振とアミューズメント事業のクレーンゲームの不振もあり、利益予想が当初予想を大幅に下回ることになる。
以前GONZOの業績について触れた時も、同じように「DVD市場の環境悪化」が挙げられていた。
もしかしたら、DVDの売り上げが悪かった時に使われる釈明文の常套句なのかもしれないけど、実際のところDVD市場が芳しいとは自分もあまり思ってない。デジタル化やインターネットの普及による高画質映像の違法流通は少なからぬ影響を与えていると思う。デジタル放送より画質の悪い(あえてテレビ放送の画質を落とす場合もあるみたいだけど)DVDを買うのは確かに馬鹿げた話かもしれない。パッケージに意味を求める人間は、やはりどう考えても少数派だろう。普通はコンテンツそれ自体に興味があるのだから。あと、近年の異様な数のアニメ放送による顧客の分散といった面も強そうだ。
そしてこの状況は悪化こそすれ回復するような兆候は、今のところあまり感じられない。次世代メディアへの移行やデジタル放送の普及が促されれば多少はマシかもしれないけど、まぁ現状を鑑みるにそれも難しい。ではアニメ作品が減るかと言えば、最近は増える一方だ。
蟲師は実際とてもよく売れた作品で、オリコン集計による初週売り上げは、同時期に発売された中で売り上げ上位組の「舞-乙HiME」「魔法少女リリカルなのはA’s」「ARIA THE ANIMATION」「灼眼のシャナ」「ローゼンメイデントロイメント」と同等ぐらい。そういえばこの時は、初週売り上げ10000弱の壁に迫った作品がこれだけ並ぶという妙に景気の良い時期だった。
最近では、「涼宮ハルヒの憂鬱」「Fate stay/night」が異様な売り上げを誇っている。初週売り上げは、前述の作品群に比べ、「Fate」は2倍、「ハルヒ」は3倍以上の数に登る。
そして、「ガンダムSEED」「同DESTINY」「鋼の錬金術師」はそのさらに上を行く。またこれらは、初動の「発売日買い」以外の売り上げが比較的多い様子なので、トータルは相当な数になるはず。
そう考えると、DVD市場はそれほど悪化しているのだろうか、思ってしまう。それは「自社にとって」に悪化しているのであって、全体で見ればそれほど変化していないんじゃないか、と。もっとも、「いつと比べて」悪化しているのか、以前は実際どれほど売れていたのか知らないので、比較しようがない、といえばその通りなのだけど。
ここから余談。
ULTIMO SPALPEEN: 「涼宮ハルヒの憂鬱」の北米市場での可能性について――AWOの見解
自分も「涼宮ハルヒの憂鬱」が米国でのヒットするのは難しいだろうな、と思っていたので、上記の記事に書かれた見解は「ああやっぱり」と思った。あいにく、米国市場のDVD売り上げデータを知らないし、それが見られる場所も知らないので推測で物を言うしかないけど、向こう側ではいわゆるCOOLで格好いい作品が受けやすいようで。代表的なのが、「COWBOY BEBOP」とか。「ジャパニメーション」などと日本で持ち上げられるようになったきかっけも、「攻殻機動隊」だったり「AKIRA」だったり。だから、「ハルヒ」のような作品は売りにくいだろうな、と。
ここから本当にただの推測。米国でアニメが徐々に認知されてきたとはいえ、やはり向こう側では「漫画やアニメは子供が見るもの」という認識が根強いと聞く(日本よりも)。そして、漫画は強い主人公が悪を薙ぎ倒すという「ヒーロー物」が定番だとか(だからこそ、「フルーツバスケット」のような繊細な少女漫画が売れたとも)。そんな文化の中にいて、可愛い絵柄で描かれた女の子がパッケージに描かれたアニメDVDを手に取るか、もしくは買う勇気があるか、と考えた場合、やっぱり普通は敬遠するんじゃないかなぁ、と。
これは、大人になってエロビデオを買う事とはまた違うと思う。それは「大人になってエロビデオを買う」文化が確実に存在するから普通にできる事なわけで。
でも、海外のアニメ人気等を見ると、やっぱり可愛い女の子が出てくるような作品もそれなりに受けているように見受けられる。だから、潜在的な需要はあるんじゃないかと。それを顕在化させるためには、やはり文化として根付かせるような地道な努力が必要になると思うけど…。
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