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「ぼくらの」監督の発言について

森田宏幸のブログ 負けました

原作ファンの皆さんには負けました。
私自身が原作を嫌いで、アニメーション化にあたり、ある意味原作に悪意を持った改変を加えていることを認めます。
こう宣言しないと、このブログ上に展開されているいくつかの論点の矛盾が埋まらなくなると、私も覚悟しました。

現在放送中のテレビアニメ「ぼくらの」の監督が上記のように発言した件。
本文はもっと色々と書かれている。原作を読んだことが無いので、原作ファンの人が言っているという話が今ひとつピンと来ないのだけど、根本的な問題として、作り手の側がこのように発言する事が正しいのかどうか。自分は、間違っていると思う。

アニメ作品は創作物ではあるけれど、それ以上に商品としての価値が重視される。売れるか、売れないか。それが良いことが悪いことかはさておき、そういう事実がある。
それが商品である以上、作り手は売るための努力をする必要があると思う。例えば、ある製品を作った技術者が自身で「実はこの製品は嫌いなんですよー」などとあっけらかんと公に発言したら、商品を売るために奔走している営業側はたまったもんじゃない。それこそ方々から非難を受けてもおかしくない。

アニメーターは、いわば製作の側から発注された企画を、仕様書(原作・原案)を元にして、製品として仕上げる技術者。そこに個人の創作性を加えていく分、一般的に定義される技術者とは多少異なるかもしれないけど、会社の資産や人員、培った技術力を使って製品を作り出す事に変わりはない。監督であってもそれは同じ。

アニメ化される作品という物は、程度差こそあれある程度人気のある作品である場合が多く、その人気を得るだけの魅力があるはず。アニメ化(映像化)は、その魅力を多くの人に知らせるための手段でもある。
そんな作品を作り手が勝手に書き換えてしまう事は、その魅力を失わせる可能性があり、商品としての価値を下げる事に繋がりかねない。それは、監督とはいえ一介の技術者に許していいものだろうか。むしろ監督のような立場のある人間こそ、アニメのような商業ベースに乗せて大人数を動員する大型の企画に対して慎重になるべきなんじゃないかと。

別に全く許されない物ではないと思うのだけど、果たして「この点が嫌いだから」「こっちの方が面白いと思うから」という作り手の独断でやって良いことなのかどうか。
まぁこれに関しては「面白さ」という曖昧な基準なので、性能測定や指標等で単純比較できるような物ではないから線引きは難しいところだけど、今回の件における自分の印象としては、原作を変えてしまう事で「原作をいかに面白く描くか」という原作本位の立場ではなく、「自分がいかに面白い物を描けるか」という自分本位な自己顕示の道具に原作を使っているのではないかという気がしてしまうのですが。

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