スチームボーイ

今日、スチームボーイを見てきた。

見る前から「『それほど期待してなかった』期待を裏切らなかった」といった感じの感想は聞いてたので、自分もそのようなスタンスで見に行ったのだけど、それほど悪い作品ではなかったとは思った。まぁ、それほど取り立てて面白い作品というわけでもなかったけど。
以下ネタバレ。

最初の自走蒸気機関と主人公の乗る一輪車のカーチェイスのシーンでは、ぐいぐいと引き込まれるほど面白かった。それまでの日常から唐突に一変するシーンと、そこから主人公が事件に巻き込まれるという展開、そしてその後のカーチェイス。その導入部は、本当に惹きつけられるほど素晴らしい物があったと感じた。また、シーンごとに流れる音楽もそれを効果的に盛り上げていた。
ただその後見ていくうちに、何故それほど評価されてないのかが段々分かってきた。まずストーリーのテーマがやや使い古された物であったこと。超絶的な力と、それを取り巻く人々の思想、そしてそれによって行われる戦争を描き、主人公がそれに対峙するという形は、確かに今さら感が強い。でも、資本家の意図があからさまに描かれていたのは、風刺の意図が強いのかなぁ。
それから、レイとその父、その祖父の考え方が少々見えにくいというのも今ひとつ。父が力に目覚めた理由、祖父がそれを阻止する理由の根底にある考え方がよく分からず、薄っぺらい印象を受ける。また、レイがそこまで信念を持って行動しているのかもよく分からない。要は人物描写の底が浅い…ということかな。2時間の尺で収めるのが苦しいのであれば無理にとは言わないけど、その辺はもう少し頑張ってほしかった。
あと、スチーム城内部にいた時間が長すぎるのもあまり良くなかった。スチーム城が浮上した後から終盤までずっとスチーム城内部の描写があり、しかもスチーム城が崩壊し続けるシーンばかりだったので、場面的な起伏に乏しく、それまでの比較的起伏に富んだ展開の反動からか、退屈に感じてしまい、最後スチーム城が爆発したシーンでも「ふーん」といった印象で、カタルシスがあまり感じられなかった。最後レイとスカーレットが飛んでいくシーンも、冗長であるように思えた。

それでも、もちろん良かった点はある。映像レベルはやはり素晴らしい物がある。当たり前かもしれないけど、背景や人物、湯気の描写全てに手を抜いていない作りは、見ていてかなり感心した。同じ湯気でもスチームガールGirlsブラボーとは大違いだ(馬鹿)。
あと、全体的なストーリーが良くないとは言っても、個々の場面だけ見れば、面白いシーンは結構あった。先のカーチェイスはもちろんのこと、そのカーチェイスの前に、レイの乗る乗り物がタイヤを固定していたせいでレイがタイヤの中央で回転してしまうシーンには笑いを誘われたし、スカーレットが戦場の真っ直中を歩いていくという突拍子のない行動とか、「行け、スチームボーイ!」の後に祖父が湯気の中から戻ってくるシーンとか、意外性を持った展開も良かった。最後、スチーム城の爆発で、白いスチームが白く凍りつくのは、それまでの黒々としたスチーム城との対比もあって、演出として非常に面白かったと思う。
あと、世界観が良くできているのも○。蒸気を動力とした世界と、国家間の情勢、そしてそれをふんだんに使った展開はなかなか楽しめた。

全体的に見ると、かなり一般人向けに作られたエンターテイメント作品であるなぁ、と。それだけに、やや肩すかしを食らった感は否めない。それでも、個人的にはそんなに悪い作品ではないと思った。むしろ、それなりには楽しかった。もう少しシナリオを練り込んでくれれば十分名作に成りえた作品かなぁ、と。
まぁそのシナリオの練り込みが足りなかった(あるいは、対象をやや低年齢層に広げた?)から、今ひとつな評価を各所から下されているわけで…。ただ、大友氏が作った(とマスコミが騒ぎ立てた)という点で、やや厳しめの評価になっているというのはあるだろうなぁ、多分。

そういえば、あの最初のレイの乗り物、「ふしぎの海のナディア」にも出てくるけど、あの時代本当にそういう乗り物が考えられていた、ということなんだろうか。何て名前なんだろ。

追記

ぁ、一つ書き忘れてた。
ちゃんとした声優使ってほしい。爺さん滑舌悪すぎだ(笑)。


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