最終回は2話連続放送。
最初見た時は、「GONZO制作だけに、「爆裂天使」の後継アニメか?」と思うぐらい駄目な雰囲気を感じた作品だけど、終わってみれば今期の中でもかなり面白い作品として仕上がっていたと思う。
最終回は、色んなドラマが展開されていて、作品の締めを飾るに相応しいエピソードだったと思うなぁ。水天宮は天王洲グループの資産を全て灰にすることで経済を破綻させて社会への復讐を果たした。雑賀は神楽を救い出した。各々のキャラクターも、それぞれの結末を迎えた。社会経済が破綻しただけに、ある意味バッドエンドのような気もするけど、まぁそこはそれ。
作品全体の感想としては、ウィルスと神楽の持つ物質に関わる設定もそれなりに面白かったと思うけど、この作品の魅力はやはり、登場する数々の変態キャラと水天宮の生き様かなぁ、と思う。
変態キャラに関しては、少々あざといぐらいに脚色されている、頭がちょっとアレな感じが強烈なインパクトを放っていて、味があって好きだったなぁ。そのフェティッシュ嗜好を具現化したユーフォリアとしての能力も、結構楽しかった。
水天宮の生き様に関しては、作品のキモだけにかなり良い感じに仕上がってたと思うなぁ。ウエノタケシが借金によって家を追いやられてからの生き様が、見事に水天宮寵児の動機や行動に結びついている点はなかなか良くできている(余談だけど、このウエノタケシという平凡な名前と、水天宮寵児という仰々しい名前の対比は、二つの生き様の差を上手く表現してるな、と)。水天宮の過去のエピソードを見た時、なるほど、と感心してしまった。妹の結末に関しては、ホント切なすぎるよ…。まさに水天宮はこの作品のキモ、主人公と言っても差し支えないぐらい、良いキャラクターに仕上がっていた。
あとこ、の作品に毎回つけられるサブタイトルも秀逸だったと思う。5話が「ダイヤモンド夫人」で、次の6話が「さよならダイヤモンド夫人」ってのは何のギャグかと(笑)。「唸る札束」とか「猟奇ドリル」とか「グッドバイブレーション」なんてのも好きだったな。あと、「オカネクダサイ」はちょっと意表を突かれたので印象的。
それから、総集編「半期決算報告」の出来がなかなか良かった。総集編という事で今までのダイジェストを流す形になっているけど、場面ごとに天王洲グループの収支を表示していくのは、作品の雰囲気を上手く活かした作りだったと思うし、実際金額にギャグっぽさがあって面白かった。これは、総集編でも一手間加える事で面白く仕上げる事ができる、という事を示す良いお手本だと思う。
ただ一方、この作品は最期まで「B級アニメ」というイメージを覆す事はなかったとも感じている。
まず、その作画。GONZOは、いつもそれなりのクオリティの作品を提供してくれる。クオリティに拘るあまり、ガドガードのTV放送6話を落としたぐらいだ(笑)。ところがこの作品に関しては、作画が微妙にしょぼかったり、動きがぎこちなかったりする点が多々目につく。しかも、あの3DCG使いまくりのGONZOが、乗り物や建物等の無機質な物にも、そのお家芸を使う気配がまるで無い(使ってたらすいません)。
それから、話の展開。大まかな流れはまぁ良くできていると思うんだけど、場面ごとの展開に疑問を感じる点が多かった。例えば最終回。雑賀と銀座を行かせないようビルを守備していた辻堂達だけど、あっさり雑賀にエレベーターに乗られて、銀座から逆に「こっから先には行かせないよ」などと言われる始末。何のためにビルを守ってたんだよ、と。また、雑賀が水天宮のオルゴールを聞いて「あの時のオルゴールはお前だったのか」と唐突に理解してしまう展開なども今ひとつ納得がいかない。それ以外にも、敵のユーフォリアが納得行かない展開であっさり死んでしまったり。作品全体に渡り、そういった細かい突っ込みどころが満載だった。
もっとも、こういういかにもB級臭い感じは、制作側が意図した事なのかもしれない。そう思えるのは、このヘボさが作品に妙な味を与えていて、そこが面白いと感じてしまったから。下手に完成度の高い物を提供すると、ユーフォリアの設定や変態達の描写に、面白味が出てこないような気もするし。まぁ、真相は分からないけどね。
まぁそんなこんなで、この作品か自分の中でなかなか面白い作品だったと思っている。とうか、結構好きだった。愛すべきB級アニメ、って感じで。
こういう変なポジションのアニメも、たまにはいいなぁ。
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