ITmedia PCUPdate:ソニー、1Gバイト分記録可能なPC用Hi-MDポータブルドライブ発売
ソニー、MDをPC用ストレージにするUSBドライブ
スラッシュドット ジャパン | SONY、MD/Hi-MDにデータを書き込める小型ドライブを発売
MDおよびHi-MDを記録メディアとして扱うためのドライブがソニーから発売されるそうで。専用のソフトを使うことで、音楽MDも作成できるそうな。
…今さら?とりあえずパッと見た感想がそれ。
まずこれをデータ記録メディアとして考えてみる。メディア自体はMDなので、小型で持ち運び便利、入手性に優れるといった利点がある。容量はMDメディアが305MB、Hi-MDが1GB(知らなかったけど、Hi-MDというのは、ディスク、フォーマット、圧縮形式(ATRAC3plus、PCM)を全部ひっくるめての規格なのね)。コストは、MDなら300MB/百円ぐらい。Hi-MDなら1GB/700円ぐらい?転送速度は、MDは4.37Mbps、Hi-MDは9.83Mbps。
なるほど、メディアとしてはそれなりに使い勝手はそれほど悪くなさそうに見える。が、それはあくまでも単体の使い勝手が良いというだけの話。かつて、ORB、PD、JAZZ、ZIP、HiFD、SuperFDといった、ポストFDを狙った似たようなメディアが、CD、DVDのようにPCに標準搭載されることもなく消えていった。結局、企業あるいは地域的な独自規格は広まらずに終わっている。やはりCDやDVDのように、どんな環境でも読み出せるメディアというのは強いし、差別化が図れないメディアは死に絶えるのは必然。現に今現在、PC市場におけるフラッシュメモリは、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、MMC、メモリースティック、SDカードといった数々の規格を押しのけて、USBメモリが事実上の標準規格になっている。…まぁSDカードはPC以外で用いられることが多いため、一概に負けいるとは言えないけど。
積み重ねてきた記録メディアの歴史をざっと振り返るだけでも、まずこの規格が記録メディアといして広まることはあり得ないと断言できる。なのに、何故ソニーはこんな規格を持ち出してきたのか。
その理由はまぁ、もう一つの音楽メディアとしての機能を見越してのことと考えられる。近年は、PCに保存した音楽ファイルをiPod等の携帯デバイスに保存して持ち出すというスタイルが定着してきたので、それと同じことをMDでも行えるように、というのが主旨なんだろう。
…が、今さらそんな物出して、ばっかじゃねーのと言いたい。結局扱えるのはAtrac3という、ソニーの音声規格。恐らく、ソフトを使って変換するか、手持ちのAtrac3plus音声を保存する、という流れなんだろう。…で、CDプレイヤー、携帯プレイヤー、カーオーディオ等で既にMP3等の規格に対応した製品が出回っているこのご時世に、わざわざ専用のドライブを購入して、専用のソフトを使って変換してまで使う価値があるものなのかね?MDは。パソコンに付いてるCD-RWに手持ちのmp3ファイルを焼けば再生できるのに?まぁ確かに、MP3対応プレイヤーを持ってない人間にはそれなりに利点はあるけれど、基本的にドライブを買ってMDに転送して…という作業を行うような人間は、概してMP3といった音声規格も扱うことができると予想できるし、そういう人間が将来的にも汎用性も将来性もあまり高くないAtrac3plusとMD規格を使い続けるだろうか?
個人的には、既存の音楽資産を残したい人がこのドライブを購入して、それだけで終わると予想。しかし、ここを見ると普通のMDメディアはHi-MDフォーマットにする必要があるのかな?そうなると、既存のMDに録音した音楽資産を活用できないことになってしまうけど…。
ただ、MP3対応MDとか出てきたらどうなるか分からないけどね。しばらくMDの寿命が延びる…かも?いや、対応プレイヤーがあまり出ない&既存のプレイヤーとの差別化が図れなくて、結局失笑を買うだけか…。
もっとも、ソニーがAtrac3に拘って、そういった事はあまりやる気がないみたいだけど。Atrac3なんて今後も普及する事なんてどうせないんだから、多少切り捨ててしまえばいいものを…。この製品からは、ソニーの慢心と、MDの成功に奢った姿勢がプンプンと臭ってくる。一社の独自規格だけで市場を独占できた時代は終わってるんだよ、ソニーさん。しかも貴社の出してくる物は、既存製品の焼き直しみたいな物ばかり。そんな中途半端な代物が市場に普及すると、本気で思っているのかね?
追記
なみに、自分は未だに一度もMDという物を扱ったことが無い。どうせならこのままMDが滅びるまで意地でもMDを使わないよう生きていきたい。
ふと、そんな空しい事を考えたけど、まぁそれほどの信念があるわけでもないので、あっさり覆るかも。
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