最終回。
この作品は非常に面白かった。原作の「バジリスク」も知らなければ、そのさらに原作の「甲賀忍法帖」も知らなかったので、10対10の忍者勝負という設定から、何となく凡庸なバトルアニメというイメージだったのだけど、その想像の遙か斜め上を行く面白さ。
まず何と言っても、20人の忍者が様々な忍法を駆使して戦う展開が面白い。話が進んでいく中で徐々に明かされていく常軌を逸した忍法(というか、妖術みたいな物だよなぁ)と、それを駆使して戦う忍者達は、視覚的にも面白かったし、先の展開が読みにくくて非常に楽しかった。また、その容赦なく殺し合う殺伐とした雰囲気も、話をよく盛り上げていた。
また、その忍術の組み合わせと、それによって作られた話の内容も非常に良い。例えば、弦之介の瞳術と、朧の破幻の瞳。甲賀と伊賀で婚姻を結ぶ二人が、それぞれ相殺する力を持っていて、互いに殺し合う事になるという話の流れも面白かったし、それ以外にも、手足を自在に使う小豆蝋斉と人肌地獄のお胡夷、(死者から)仮面を作って他者に化ける如月左衛門と死なない薬師寺天膳、また同じく天膳と男に対しては息が毒となる陽炎、などなど一見バラバラに見える忍術だけど、組み合わせによって得手不得手があって、それがきちんと話として作られている辺りに感心してしまった。
それ以外にも、如月左衛門と蛍火の、大切な人を殺された同士の戦いや、甲賀弦之介の瞳術によって目を潰された筑摩小四郎が、今度は室賀豹馬の瞳術にかからないなど、因縁の対決といった要素も面白い。
それから、伊賀側と甲賀側、それぞれ相手(忍術など)に関する情報を得ていく過程などが、非常に自然で違和感がなく作られている点なども、非常によくできているなぁ…と。
とにかく、作品の焦点となる伊賀と甲賀の戦いに関して、本当に様々な要素が詰め込まれていて非常に良くできていた。また、話全体の流れも綺麗な起承転結で構成されていて、面白かった。
もちろんこれは、原作およびコミックの力が大きいんだろう。そう思ったので、アニメ見終わった後に早速コミックを購入してしまった。ほぼアニメ通りだったけど、アニメには色々と加えられていたようで「あれ、アニメだとあったあの台詞が無い」、「設定が少し違う」といった驚きも。ただ、5巻の最初。天膳に化けた左衛門に対していきなり「如月左衛門」って書いてある点。これはいただけない。アニメ見てた時は、この天膳が本物の天膳と本気で思い込んでいて、その後の展開に驚いただけに、妙に肩すかしを食らった感じ。
そんなわけで、自分としてはややアニメの方が良かったかな。アニメ自体も、24話それぞれにきちんと見せ場が作られている上、作画や演出など作品をより魅力的に見せていて、アニメとしても申し分ない作りだったと思うし。
とにかくこの作品は、最近見たアニメ作品の中でも大変良くできた物で、申し分のない面白さを持っていた。GONZOスタッフありがとう。
ちなみに、登場する忍者達はどれも(色んな意味で)魅力的だったけど、一番好きだったのは天膳かなぁー。あの悪役面と「あー、また死んだよこの人」って感じのドジっぷりが(笑)。
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